天井の内装仕上

天井の役割

昔の家には天井はありませんでした。今でも囲炉裏のあるような田舎の民家では天井がなく、梁が剥き出しになっているところもあります。天井がなくても家を建てることは可能です。それでは、なぜ天井がある家が一般的になったのでしょうか。

ほこりやチリの落下防止

天井の裏側にある屋根裏は、梁が入り組んでいてほこりやチリが溜まりやすくなっています。照明が届かないので、なかなか目にはつかないのですが、実際に近くで見てみるとかなりのほこりやチリが溜まっています。それらを放置していると、部屋の中にそれらがどんどん降り注いできてしまうでしょう。それを防ぐのが天井の役割です。

明るさの調整

部屋の明るさを調整するものとしては、真っ先に電灯などの照明器具を思い浮かべる人が多いでしょう。ですが、実は天井も明るさに大きな影響を与えているんです。もしも部屋の天井が真っ黒だったらどうでしょうか。黒い天井は光が反射しにくいため、明るさが落ちて部屋が暗くなってしまいます。天井の色や材質によって、部屋の明るさには大きな差が生まれるんです。

温度・湿度の調整

天井には、温度や湿度を調整する役割もあります。温かい空気は上に上り、冷たい空気は下に溜まる性質があることはご存知でしょう。そのため、天井がなかったり高過ぎたりすると温かい空気は上の方に逃げてしまい、部屋の断熱効果を著しく奪ってしまいます。反対に天井が低過ぎると熱や湿気がこもってしまいます。適度な高さの天井を造ることで、部屋の温度や湿度を快適に保つ事が出来るんです。

防音

天井には防音の役目もあります。上の階の人の足音が響いて気になる、という悩みを抱えている人も多いでしょう。それを防ぐには、防音材の入った天井を用いることで衝撃や音を吸収し、階下に音が響かないようにする事が出来ます。後から天井に防音シートのようなものを貼る事も可能ですが、内装仕上工事の段階で複合的に措置を行うことで、より一層防音効果を高める事が出来るんです。

悪臭を抑える

生活をしていると様々な臭いが発生してしまいます。そういった臭いは、空気と一緒に下から上に向かうことが多いんですが、防臭素材の入った天井はそれらの臭いを吸収・分解して解消してくれます。

収納

梁が剥き出しになっている昔の建築物には出来ないこと、それが天井裏に物を置くことです。物持ちが良い人には天井裏のスペースも無駄にはできません。天井裏は高い場所にあるので出し入れが面倒なのは確かですが、それほど頻繁に使用しないものならあまり不便に感じないでしょう。ただし、時には掃除をしないとほこりまみれになってしまいますから注意してください。

天井の内装仕上

天井には様々な役割があることがお分かりいただけたでしょうか。こういった天井を造るのも内装仕上工事の一つになります。天井は軽天工事によってプラスターボードやモルタル、合板、無機質ボードなどによって下地が造られますが、そこに天井仕上材を貼って仕上を行う訳です。天井仕上材には化粧合板、無機質断熱ボード、プラスターボード、ケイ酸カルシウム板、繊維板、発泡プラスチック板等があります。 下地の精度があまり良くない場合や配管・断熱材などを配置するための空間が必要になる場合は野縁工法を、下地の精度が良く下地と天井仕上げ材との間に空間を必要としない場合には直張り工法を用います。野縁とは天井板を張るための下地の骨組となる細長い角材で、吊木(天井などを吊る為に用いる材)に取り付けてそこに天井仕上材を貼ります。 天井工事は部材の荷重が大きくなるため、万一剥がれ落ちたりすると大きな被害を生みかねないので、のりくぎ併用工法を一般的に用います。のりくぎ併用工法はその名前のとおり天井仕上材を釘と接着剤を使って固定する方法で、主に一般木造住宅に用いられます。